剣道 昇段審査 模範解答

剣道昇段審査学科試験(筆記試験)の模範解答例(弐段・二段)

剣道二段(弐段)昇段審査の学科試験(筆記試験)の模範解答例です。

 

年度によって出題の内容が異なりますので、他の段位の模範解答例もご参照下さい。

 

 

1.仕掛け技

 

仕掛け技とは、動作を仕掛けて相手の攻撃をなくし、また相手の動揺するところに、こちらから打ち込む技である。
基本技から一歩進んだ応用技であってその技の種類は次のとおりである。

 

@払い技
払い技は、相手の竹刀を左(右)に払って、相手に構えを崩すと同時に打ち込む技である。

 

(1)払い面
払い面打ちは、右足から踏み込みながら相手の竹刀を斜め左(右)上に払い上げ、または斜め左下に払い落として、直ちに面を打つ。

 

・注意すべき点
イ 右手のみでなく、両手で払う。
ロ 弧を描くようにして払い、払った竹刀の方向と力が、払った流れでそのまま有効的に打てるように曲線的に動かす。
ハ 払う時期は、相手が出ようとする瞬間、あるいは、退こうとする瞬間が良い。

 

(2)払い小手
払い小手打ちは、右足から踏み込みながら、相手の竹刀を右斜め上に払い上げて直ちに打つ。

 

・注意すべき点
この技は、特に手先の技になり易いので身体全体で行い、左足を残さないようにする。

 

(3)払い胴
払い右(左)胴打ちは、右足から踏み込みながら、相手の竹刀を右(左)上に大きく払い上げ、直ちに右(左)胴を打つ。

 

・注意すべき点
この技は、特に腰が引けやすいので、速やかに後足を引きつけて、腰を曲げないようにする。

 

(4)払い突き
払い突きは、右足から踏み込みながら、相手の竹刀を斜め左下に払い落とし直ちに突く技である。

 

・注意すべき点
この技は、特に手ばかりで突きやすいので、十分踏み込んで腰を入れ身体全体で突くようにする。

 

 

Aかつぎ技

 

この技は、攻撃精神に満ち満ちて、右足から一歩大きく踏み込みながら竹刀を左肩にかつぎ、相手がその勢いに飲まれ心が動揺し、構えを崩したところを打つ技である。
かつぎ技には、かつぎ小手、かつぎ面、かつぎ胴の三種がある。

 

・注意すべき点
中途半端なかつぎ方は、逆に相手から打突される恐れがあるので、充実した気勢としっかりした姿勢を持って相手を圧し、思い切って踏み込みながら大きくかつぐ。

 

 

B引き技
引き技は、つばぜり合いや接近している時、相手に隙が生じたり、または、体当たりなどして崩したところをすかさず引きながら打つ技である。

 

(1)引き面
引き面打ちは、送り足、または、開き足で、後方、或いは、斜め後方へ引きながら正(左、右)面を打つのである。
なお体当たりによって、相手の構えをくずしたり、相手の手元を押し、その反動を利用して打つ場合もある。

 

・注意すべき点
この技は不正確になりやすいので、足さばきに注意し、手の内を締めてしっかり打つ。
また、軽い打突にならないよう、打突の瞬間に右足の踏み込みをしっかり行う。

 

 

(2)引き小手
ひき小手打ちは、斜め左後方へ開き足で大きく引きながら、右小手を打つのである。

 

・注意すべき点
足の運び方は、相手の右小手の方向へ両足が向くように、左足から大きく引き直ちに右足を引き寄せる。
打ったとき、腰が引けないようにする。

 

 

(3)引き胴
引き胴打ちは、相手の肘が伸びるか手元が上がって右胴に隙が生じた瞬間、後方、あるいは、斜め後方へ引きながら右胴を打つのである

 

・注意すべき点
この技は、足さばきに注意して、刃筋正しく手の内を返して正確に打つ。
打ったとき、腰を曲げて前かがみにならないようにする。

 

 

C二、三段の技

 

二段、三段の技は、二つ以上の技を連続して打つ技であるが、単なる連続を目的とした技ではない。
結果から見れば確かに連続しているが、その動機は基本打突を二つ以上重ねたものである。

 

一つの部位を攻撃したが、相手に余されたり、又は抜かれたり、或いは応じられたりして不成功に終わった場合でも、そのまま続けて第二第三の目標を見つけて攻撃する技である。

 

その主な技は、小手⇒面、小手⇒胴、面⇒面、面⇒胴、突⇒面、突⇒小手、小手⇒面⇒胴などがある。

 

(1)小手⇒面
この技は、相手の右小手に打ち込み、相手に余されたり、或いは短くて不十分であった場合に更に踏み込んで相手の面を打つ技である。

 

・注意すべき点
イ 一つ一つ全精神を集中して打突し、たとえ不十分であっても絶対に気を緩めないで一気に打つ。
ロ 左足の引き付けを早くして、次の踏み込みが速く出来るようにする。

 

(2)小手⇒胴
この技は、相手の右小手に打ち込み、相手が手元を上げて交わした瞬間、相手の胴を直ちに打つ技である。

 

・注意すべき点
胴を打つ場合の振りかぶり方があまり大きすぎると、相手に防がれ易いので小さく振りかぶり、、そのまま右に開き抜けて打つ。

 

(3)面⇒面
この技は、中段から相手の面を打ち込み、相手が余したため不十分に終わった瞬間、更に踏み込んで面を打つ技である。
また、鍔ぜり合いから正面、右面と打つ方法もある。

 

・注意すべき点
体を崩さず思い切って踏み込んで正面を打ち、左足を早く引きつけること。

 

(4)面⇒胴
この技は、思い切って面に打ち込んだとき、相手が竹刀で受け、手元が上がって胴に隙が生じた瞬間を、更に出て打ち込む技である。
また鍔ぜり合いから退いて打つ場合もあるから、併せて研究する事が大切である。

 

(5)突⇒面
この技は、機を見て相手の咽喉部を突く。
相手が体を反らしてか剣先を開くか、或いは退いて剣先を下げたとき、更に踏み込んで面を打つ技である。

 

・注意すべき点
中途半端な突は相手に払われ、いなされやすいから、体当たりのつもりで思い切って前に出ること。

 

(6)突⇒小手
この技は、突⇒面と同様に機を見て相手の咽喉部を突く。
相手が突をしのごうとして手元を上げるところを、更に出て右小手を打つ技である。

 

(7)小手⇒面⇒胴
この技は、小手⇒面、面⇒胴の要領で、小手⇒面⇒胴と連続して打つ三段打ちである。

 

・注意すべき点
特に体勢が崩れて不正確になりやすいので、それぞれ打ちを正確にし、打ちと打ちの間に気を抜かないようにする。

 

 

D片手技
この技は、左または右片手で相手を打突する技であるが、正確なうちにならない場合が多いので、たびたび出す技ではない。

 

(1)片手面
この技は、主に上段の構えから、相手の右面に隙の生じた瞬間、左足より踏み込んで体を右に開き相手右面を左片手で打つのである。

 

・注意すべき点
横振りにならないように、斜め下に打ち下ろす。
左肘を伸ばして打ち、右拳は右腹部につけ、右足を左足に引き付けて、体の安定を保つようにする。

 

(2)片手突
この技は、相手の咽喉部に隙が生じた瞬間、右足から大きく踏み込んで左拳を内側に握り締めながら前に突き出し、左片手で突く技である。

 

・注意すべき点
突いたとき、身体が前に傾き易いので腰から出るようにして、身体全体で突くこと。

 

 

E上段技
この技は、上段の構えから相手の面、小手、胴を打つのである。
上段の構えは色々あるが、ここでは諸手上段の構えからの技について述べる。
その他の構えからの技は、これと同じ要領で行うとよい。

 

(1)上段からの面
この技は、相手の面に隙が生じた瞬間、左足から踏み込んで、左片手で相手の正(右、左)面を打つ技である。
また、右足から踏み込んで諸手で相手の面を打つ場合もある。

 

・注意すべき点
上段に構えている時は徹底的に攻め、多少でも退く気があってはならない。
打つ時は腰から出るようにし、打った時、後ろ足が残らないようにする。

 

(2)上段からの小手
この技は、相手の右小手に隙が生じた瞬間、すかさず左足から斜め左前に開いて、左方手で相手の右小手を打つ技である。

 

(3)相上段からの小手
この技は、相手も上段の構えである相上段の場合に、左足から踏み込み左方手で相手の右小手、または左小手を打つ技である。

 

・注意すべき点
小手打ちは抜かれやすいから、十分に踏み込んで打つこと。

 

(4)上段からの胴
この技は、相手の面を攻め、相手が面を防ごうとして手元が上がった瞬間、右足より相手のやや左側に踏み込んで、相手の右胴を諸手で打つ技である。

 

 

 

2.応じ技

 

応じ技とは、相手の攻撃に対して、すり上げ、打ち落とし、応じ返しなどによって、相手の打突を無効にし、その瞬間、相手に隙が生じたところを打突する技である。

 

応じ技の主なものは、すり上げ技、打ち落とし技、返し技、抜き技の四種である。

 

@すり上げ技
この技は、打突してくる相手の竹刀を左または右にすり上げて、相手の打突を無効にすると同時に、隙の生じた相手の打突部位を打つ技である。

 

(1)面すり上げ面
この技は、相手が正面に打ってくるのに対して、開き足にて右(左)へわずかに身体をかわしながら、左(右)に払い上げるようにしてすり上げ、相手の竹刀を左(右)に流し、直ちに正面を打つ。
すり上げた方向と逆方向の面を打つ形にすると技が出しやすい。

 

(2)面すり上げ小手
この技は、相手が正面を打ってくるのに対して、開き足にて左足から斜め左後方に退きながら、相手の竹刀を払い上げるようにして右にすり上げ、直ちに相手の右小手を打つ技である。

 

(3)面すり上げ胴
この技は、相手が正面を打ってくるのに対して、面すり上げ面の要領で、相手の竹刀を左(右)にすり上げ、直ちに相手の左(右)胴を打つ技である。

 

(4)小手すり上げ面
この技は、相手が右小手に打ってくるのに対して、左足から左斜め後ろに、わずかに身体を交わしながら、竹刀の先の方向を相手の正中線からはずさないようにして、右拳を内側にしぼりながら、相手の竹刀を右上にすり上げ、直ちに正面を打つ技である。

 

(5)小手すり上げ小手
この技は、相手が右小手を打ってくるのに対して、小手すり上げ面の要領で、相手の右小手を打つ技である。

 

(6)突すり上げ面
この技は、相手が突いてくるのに対して、開き足でわずかに斜め右前に身体を交わしながら、左にすり上げて相手の面を打つ技である。

 

・注意すべき点
相手の突に対しては、引き気味になると打突されやすいから、絶対に引かないようにする。

 

 

A返しわざ
この技は、相手の攻撃に応じ、その力を利用して応じた反対側に、竹刀を返して打つ技である。

 

(1)面返し胴
この技は、面にくる相手の竹刀を自己の竹刀の左側で応じ、右に返して相手の右胴を打つ技である。

 

・注意すべき点
応ずる場合は迎えるような気分をもって行い、決して引く気があってはならない。
また、自分の面の近くで応じると、返し打ちが遅くなるので、出来るだけ前で応じるおうにする。

 

(2)面返し面 (左)
この技は、面に打ち込んでくる相手の竹刀を、自己の竹刀の左側で応じ、右に返して相手の左面を打つ技である。

 

・注意すべき点
両手を前に突き出し、受け流すようにして応じ、応じた直後に打つようにする。

 

(3)面返し面 (右)
この技は、面返し左面の場合と反対で、自己の竹刀の左側で応じ、体を左に開いて相手の右面を打つ技である。

 

(4)小手返し小手
この技は、相手が右小手に打ってくるのに対して、開き足で左足から斜め左後方に引きながら、右拳を外側にひねり、竹刀の先を下げ、自分の竹刀の
左側で応じ、直ちに小さく速く返し、右足から踏み込んで相手の右小手を打つ技である。

 

・注意すべき点
右手に力が入っていると竹刀が回らなくなるので、正しい竹刀の握り、力の入れ具合を理解する。

 

(5)小手返し面
この技は、相手が右小手に打ってくるのに対して、小手返し小手の要領で相手の正面を打つ技である。

 

(6)胴返し面
この技は、右胴に打ち込んでくる相手の竹刀を、自己の竹刀の左側で体の右側で応じ返して面を打つ技をいう。

 

・注意すべき点
手の内を柔らかにして左拳を思い切ってあげ、右拳を十分引き付けて返す。

 

 

B.抜き技
この技は、相手が打ち込んでくる竹刀を身体を交わして外し、相手に空を打たせながら相手を打つ技である。

 

(1)面抜き胴
この技は、相手が正面をうとうとして振りかぶるとすぐさま、送り足で右足から斜め右(左)前に大きく踏み出し、すれ違いながら、相手に空を打たせて右(左)胴を打つ技である。

 

・注意すべき点
足だけでなく、身体全体で抜く気持ちで、腰を立てて速く踏み込む。

 

(2)面抜き面
この技は、相手が正面を打ってくるのに対し、開き足で右後ろに退きつつ、竹刀を頭上に振りかぶって相手に空間を打たせ、すぐさま右足から踏み込んで、相手の面を打つ技である。

 

(3)面抜き小手
この技は、相手が正面を打ってくるのに対して、開き足で左足から斜め左後方へ退きながら、相手の右肘が伸びたところを、右足前で相手の右小手を押さえるようにして打つ技である。

 

・注意すべき点
横打にならないように、相手の右小手の方向に正しく向かって、小さく速く強く打つようにする。

 

(4)小手抜き面
この技は、相手が右小手を打ってくるのに対して、開き足で左足から左後方に退きながら、竹刀を頭上に振りかぶり、相手に空を打たせ直ちに右足から踏み込んで相手の面を打つ技である。
また、開き足で左足から斜め左前方に開き(左足前)ながら右手を離して右拳は右下腹部につけ、相手に空間を打たせるやいなや、直ちに左方手で竹刀を振りかぶり、右面を打つ場合もある。

 

・注意すべき点
抜くときは、手ばかりでなく、身体全体(特に足さばき)で抜くようにする。

 

(5)小手抜き小手
この技は、相手が右小手を打ってくるのに対して、開き足で左足から斜め左後方に退きながら、剣先を下げて相手の竹刀の先から、小さく回すようにして抜き、
相手に空間を打たせ、直ちに右足から踏み込んで相手の右小手を打つ技である。

 

 

C打ち落とし技
この技は、攻撃してくる相手の竹刀を、右または左に打ち落して攻撃力をなくし、反対に相手の隙を打つ技である。

 

・注意すべき点
相手の竹刀に自分の竹刀が接する瞬間、強く、速く、しかも相手の正面に向かって真直ぐに打ち下ろす。

 

(1)胴打ち落し面
この技は、相手が右(左)胴を打ってくるのに対して、開き足で、左(右)にわずかに身体を交わしながら、相手の右肘が伸びようとする瞬間、腰をひねって、手元を下げて、自分の右(左)斜め前下に相手の竹刀を打ち落し、直ちに面を打つ技である。

 

(2)胴打ち落とし胴
この技は、相手が右(左)胴を打ってくるのに対して、胴打ち落とし面の要領で相手の右(左)胴を打つ技である。

 

(3)突打ち落とし面
この技は、自分が諸手上段に構えているとき、相手が突いてくるのに対して腰を右にひねって、その場で相手の竹刀を左前下に打ち落し、右足から踏み込んで
(相手との間合によっては左足を引いて)相手の面を打つ技である。

 

 

 

3.練習(稽古)上の注意点

 

剣道の練習(稽古)の効果を上げるには、色々な注意が必要である。
次にその主なものをあげると、

 

(1)礼儀作法を重んじる。
(2)正しい姿勢、構え、打突方法で稽古する。
(3)攻撃技を主として稽古する。
(4)工夫と研究を怠らない。
(5)竹刀の破損その他危害防止に留意する。
(6)着具、服装を正しくする。
(7)打たれて、数多く練習する。
(8)見学の効用について認識する。
(9)準備運動、整理運動を必ず実地する。
(10)保険衛生(特に足の爪)について注意する。

 

 

 

4. 残心について

 

1.残心とは、打突後の心身の備えをいうのである。すなわち言葉を変えると、油断をしないことである。

 

2.剣道では、攻撃後の心構えや身構えが崩れると、攻撃が成功しなかった場合、直ちに反撃されたり、また続いて攻撃できなくなったりするので、打ち込んだ後、気を緩めず、心を乱さず、相手が動けば再び打つぞという身構え、心構えが必要となるのである。
すなわち残心の要点を挙げると、
(1)相手に打ち込んだ際、速やかに変化に応じられる構えを取ること。
(2)残心があるように打突するには、心身とも8分か7分の力で打突し、残りの2分、3分の力で残心を取るのではなく、全力で打突動作を行い、その直後、自然に心が残るように打突することをいうのである。

 

 

 

5. 気剣体の一致

 

気剣体の一致とは、心気力の一致とかいわれるのと同じ内容の意味を持っている。
すなわち、
気とは・・・意志とか心の精神作用をいうのであって、心の判断によって動作を起こそうとする決心を指す。
剣とは・・・竹刀の働く作用を指す。
体とは・・・体勢で、身体の力、四肢の働きを指す。

 

相手を打とうと決心して、竹刀や身体の動きが、これに伴わないと相手を打突することが出来ず打つべき機会を失ってしまい、また竹刀が先に進んでも、足が十分に踏み込んでいなければ正確な打突とはならず、また機会を見てすばやく飛び込んでも技が伴わなければ、これまた有効な打突とはならない。

 

このように気、剣、体の3つが一致して初めて有効適切な打突ができ、相手に勝つことが出来る。

 

常にこの気剣体が一致して打突できるように心がけ、練習することが肝心である。

 

古くから心気力の一致、心形力の一致、心眼足の一致と言われている言葉は、みな同じ意味、内容を持っているものなので、剣道においては、大切な教えの一つである。

 

 

 

6. 三つの許さぬところ

 

1.起り頭

 

〜相手の起り頭〜
相手が打突の動作を起こすときは、必ず隙ができるものであるから、その動きの瞬間をすかさず打突するのである。

 

2.受けとめたところ

 

〜相手がこちらの打突を受けとめたところ〜
相手が打突を受け止めたら、相手が攻撃に出られないよう、続けて打突するのである。

 

3.技の尽きたところ

 

〜相手の技の尽きたところ〜
相手が連続に攻撃してくるところを、間合と体勢を失わないで打突を交わしていると、相手はいつか技が尽き呼吸も乱れてくるので、打突を止めるときがある。
そこをすかさず打突するのである。

 

 

 

7. 体当りの方法と効果

 

@体当りの方法

 

普通、打ち込みまたは、突き込むと同時に竹刀をやや右斜めに傾けて、右手を自分の腹部に当て、右拳を脇にとって手元を確実にし、相手の体に突き当てるのである。

 

その時は、下腹に力を入れて腰を据え体をやや落とし、相手の体を腕と腹との力で下から上へ突き上げるように当るのである。

 

また、体の小さい者が大きいものに突き当るときは、両拳をもって強く相手の腰に向かって、下からすくい上げるようにして突き倒すのである。

 

普通、体当りは正面からするが、相手の力が強くて動かぬ場合には、相手の右からやや斜めに押し、あるいは左から斜めに押して行うとよい。

 

体当りの際に、自分の頭を前に出し、あるいは、腰を退き両手のみを伸ばして相手に当てるのはよくない。

 

なお、暴力的な体当たりにならぬよう注意しなければならない。

 

A体当りの効果

 

(1) 姿勢を整え、体力を練る。
(2) 勇気と果断の気力を養う。
(3) 足の踏み切りを良くし、体の動作を自由軽快にする。
(4) 腰のすわりを良くする。
(5) 相手の気勢をくじく。
(6) 相手の体勢をくずして隙を作る。
(7) 相手を圧倒して反撃をゆるさない。

 

 

 

8. つばぜり合いの心得

 

(1) いたずらに技にこだわらず、気分で相手を圧倒する。
(2) 手許を下げ、剣をやや右斜めにして、相手の剣を圧してその自由をうばう。
(3) 下腹部に力を入れる。
(4) 相手と背くらべをする気持ちで足腰を十分伸ばす。
(5) 体勢を確実にして強く入り込む。
(6) 気魄を十分込めて、相手を威服し、先を取る心を持つ。
(7) 機を見て押すか、体をかわすか、退くかして打突する。

 

 

 

9. 剣道具取扱い上の一般的な注意事項

 

剣道具は、剣道を練習する上に、身体の重要な部位を保護して、危害を防止するためのものであるから、着脱するときは、丁寧に確実に行い、変形しないよう長く使用できるよう、注意することが大切である。

 

(イ)使用後は面内部の汗をよく拭き取る。
(ロ)小手の形が変形しないよう、手の内革をよく伸ばし、内側に折り曲げておく。
(ハ)ときどき日光にあて消毒することはよいが、汗でぬれている皮の部分は日光にあてると変形(固く)するから陰干しにする(小手の手の内皮など特に注意する)
(ニ)面や小手の内側は不潔になりやすいから、ときどきアルコールで消毒する。

 

 

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