剣道 昇段審査

昇段審査の一般的事項について

剣道の昇段審査は、1級に合格していれば中学2年生から受けることが出来ます。

 

昇段審査の内容は、他の武道とは若干異なり、勝負にこだわりません。

 

正確には、その段位にふさわしい品位、風格、知識、技術などが備わっているかを総合的に見て判断されます。

 

全てにおいて重視されるのは『基本』です。

 

学科、実技、日本剣道形の全てに基本があり、その基本がマスターされているかを見るわけです。

 

段位によって異なりますが、各段位に共通する具体的なポイントを書いていきます。

 

 

学科試験

@総論的問題
 剣道の理念、効果をはじめとして、剣道を始めた動機や修行の心構えなど、剣道全体を幅広くとらえた問題です。

 

A技術的問題
 切り返しの効果、打突の好機など、剣道の稽古や試合をする上での技術に関する問題として出題されます。

 

B理論的問題
 3つの先、四戒、止心、残心など、動きや技術、心構えなど、剣道を行う上での理論について出題されます。

 

※当然ですが、受審する段位が上がるほど、奥深く細かいところが問題として出題されます。

 

学科試験のポイント

 

※模範解答が事前に配られるケースがありますが、丸写しは減点、場合によっては審査落ちとなるケースがあります。模範解答を引用するのは構いませんが、自分の経験や学んだこと、自分の意見などの言葉を取り入れて書くことが重要です。

 

また、原稿用紙にキレイに文字数をおさめようとする必要はありません。

 

自分の考えなどを加えて書くと絶対に原稿用紙が足りませんので、もう1枚原稿用紙を用意するか、裏面に書くなどして、しっかりと書きましょう!

 

 

実技試験

切り返し⇒1分〜1分30秒の立会い2本が一般的です。

 

まず、全体を通して、正しい着装がされているかチェックされます。

 

切り返しについては、間合い、足さばき、手の返し、正しい竹刀の振りやスピードなど、段位に応じた基本が修得されているかチェックされます。

 

立会いは、試合の感覚で行う人をよく見かけますが、決して勝ち負けではありません。
正しい姿勢と中段の構え、打突の好機をとらえているか、『気・剣・体』が一致した打突が出来ているかなどがチェックされます。

 

実技審査時に審査員から見られるポイントは以下のとおりです。

 

【初段〜参段】
・正しい着装、礼法
・適正な姿勢(中段の構え、蹲踞(そんきょ))
・充実した気勢(先の気迫、発声、気合)
・基本に則した打突(切り返し、打突の好機、気剣体一致、打突の姿勢)

 

※上で『試合の感覚で行う人をよく見かける』と書きましたが、悪い例を挙げると、始めの合図がかかった後すぐ打ち込んでいくのは減点です。
気迫、気合も充実していない中で打ち込んでいくのですから、減点は当然ですよね。
分かりやすく言えば、『大人の試合』を見れば理解出来ると思います(→全日本選手権などの試合を見てみましょう)。
見る人が見れば、極端な例ですが1本も打たなくてもその段位の風格や質などが備わっているか分かりますから、立礼をする時から堂々とするように心掛けて下さい。
ただし、当然のことですが、普段の稽古からやっていないと昇段審査の本番では堂々とした立ちい振る舞いは出来ません。

 

具体的には、
堂々とした正しい礼をする→蹲踞する→始めの合図がかかったら立ち上がり、小さく一歩前に出る(下がると減点)→気迫のこもった掛け声を出す→初太刀で1本(有効打突)を決める→勝負の間は無駄打ちをしない→終わったら堂々とした正しい礼をする
です。

 

段位別のポイントを簡潔にまとめるなら
・初段→とにかく基本
・弐段→基本が備わった中で、力強さとスピードが備わっていること
・参段→基本、力強さ、スピードに加え、風格も必要。技術面では、応じ技や返し技などが必要。

 

【四段〜五段
初段〜参段のポイントに下記の内容が加わります。
・応用技の錬熟度(臨機応変の動き・技)
・鍛錬度(手の内の冴、呼吸)
・勝負の歩合(有効打突)

 

一言で言えば、子供の剣道ではなく、大人の剣道ということになりますので、実力も拮抗し、打つ本数も少なくなります。
品位、風格が備わった状態で、少ない本数の中で有効打突を決める必要があります。
技の面では、先の技も当然必要ですが、後の先や先々の先の応じ技など、相手を引き出させて打つことが必要になります。

 

また、相手の打突に対して、打たれまいと見苦しい避け方をする人がいますが、品位や風格という面ではマイナスポイントです。
もちろん相手を制するのが一番いいのですが、制することが出来ず見苦しい避け方をするぐらいなら、堂々と打たれましょう。

 

 

日本剣道形

初段   :太刀の形7本のうち3本
弐段   :太刀の形7本のうち5本
参段   :太刀の形7本全て
四〜五段:太刀の形7本、小太刀の形3本

 

で実施されます。

 

打太刀、仕太刀のどちらかをする場合が多いですが、都道府県連盟や市町村単位の協会ごとに要領が異なり、打太刀と仕太刀の両方の審査が行われる場合もあります。

 

特に初段〜弐段の受審者に多い事例や間違いとして、
・日本剣道形の形(かたち)だけ覚えて淡々とやっている
・九歩の間合い(立礼の位置)から3歩前に進んだ時⇒一足一刀の間合いになっていない
・技を終えて別れる直前⇒横手(切先)の間合いになっていない
・打太刀の時⇒面や小手の部位を切っていない(届いていない)
・仕太刀の時⇒打突部位に届いていない(頭や手首の上に木刀が届いていない)
・打太刀よりも仕太刀が先に動いている(仕太刀が先に動いていいのは、6本目の下段の構えの時だけ)
などです。

 

細かいことを挙げればキリがありませんので、道場や学校の先生によく習いましょう。

 

特に防具を着けての稽古と、日本剣道形の稽古は別と思っている人が多いのですが、日本剣道形で学んだことを日頃の稽古に活かすことが大切です。

 

また、四〜五段を目指す方は、理合や緩急強弱、小太刀においては半身、入身などを理解する必要があります。

 

日本剣道形の審査時に審査員から見られるポイントは以下のとおりです。

 

【初段〜参段】
・所作、礼法、刀の取り扱い
・構え、目付け
・呼吸法、気迫
・間合い、足さばき
・迫真性、重厚性
・打突の時期

 

【四段〜五段】
初段〜参段のポイントに下記の内容が加わります。
・理合
・緩急強弱
・残心
・半身、入身

 

 

昇段審査時の袴について

昇段審査の時は、ゼッケン(名札)を外して垂にチョークで番号を書かれるか、番号付きのゼッケンを付けるのが一般的です。
これについては、受審時に番号で管理した方が、採点などの審査がやりやすく、審査に関する取りまとめの事務もやりやすいからです。

 

実は、もう1つゼッケンを外す目的があります。

 

受審者をゼッケンで特定出来ないようにするためです。
分かりやすく言えば、審査員が自分が知っている受審者や教え子などに対して、えこひいき出来ないようにするためです。

 

各都道府県内で行われる五段までの昇段審査会ではあまり厳しく言われないのですが、六段以上の中央審査会になると、袴の後ろにネームが入っているのを厳しく注意されることがあります。

 

このことからも、例え五段以下の昇段審査であっても、出来るだけ自分のネーム刺繍が入っていない袴(無地の袴)を着用するようにして下さい。

 

今後基準が厳しくなって、もしかするとネーム入りの袴では昇段審査を受けられない日がくるかもしれません。

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